ウイルス性か、細菌性か?
「ウイルス性が8~9割、
だから抗生剤はださない。」
はよくないと思うのです。
逆に、
「1~2割は細菌性なのだから、
念のため抗生物質を出しておく。」
もよくない。
抗生物質には副作用もありますし、
耐性菌の問題もあります。
では、どうすれば?
2つを確実に区別する方法は
ありませんが、
ウイルス性か細菌性かを判断するための
手段のひとつに迅速検査があります。
鼻に綿棒をいれて
こちょこちょっとやったり、
喉を綿棒でこすったりの検査です。
インフルエンザのときに
受けたことがある人も
多くいるのではないでしょうか。
実は、この迅速検査は
インフルエンザ以外にもたくさんあります。
<迅速検査キットがあるもの>
インフルエンザウイルス、
アデノウイルス、
RSウイルス、
溶連菌、
マイコプラズマ、
ノロウイルス など
ただ、この中の
アデノウイルス、
RSウイルス、
ノロウイルスに効く薬はありません。
「あれ?どうして効く薬がないのに調べるの?」
と思われる方もいるでしょう。
これらの検査をするのは、
「ひとまず抗生物質を処方する必要ない」
ことを明らかにするためです
(統計をとる意味ももちろんあります)。
いまだに抗生物質は
万能と思っていらっしゃる方は
少なからずいて、
「こんなにつらい症状がでているのに
どうして抗生物質を処方してくれないの?」
に対する答えにもなります。
かぜの場合に、
どの検査をするのかは、
症状の経過、
診察から得られた所見、
流行の状況などから判断し
選ばなければなりません。
迅速検査を行っても
結果が陰性に出ると
ふりだしにもどります。
しかも、迅速検査も100% 正確ではありません。
(感度、特異度といった少し難しい話になります)
たかが「かぜ」、されど「かぜ」です。
~ つづく ~